AIOIS-10 標準
AI が仕事に与える影響を 10 次元で測る、公開リファレンス基準(v1.0)
「AI の影響」は 1 つの数字では表せません。仕事のやり方がどれだけ変わるかと、仕事そのものがなくなるかは、しばしば逆を向きます(経営者は AI に大きく変えられても、職を失う可能性は低い)。AIOIS-10 は影響のもとになる性質を 10 の独立した次元で測り、別々の問いに別々の答えを返します。
EMFO — 4 つの段階で考える
AI の影響は 4 段階を通って「働く場」への結果になります。各段階が前の段階をしぼり込むため、技術的に「AI にできる」だけでは影響を過大評価します。人間の強みと摩擦こそが、単なる「AI 到達度」と AIOIS-10 を分けます。
各次元は 0.0〜10.0 で「その性質がどれだけ強いか」を点にします(「影響」そのものではありません)。記号が性質の向きを表します。
10 の次元
2 つの指数
変化の大きさ(Transformation)— 仕事のやり方が AI でどれだけ作り変えられるか。頭脳・情報の仕事ほど高い。本サイトのトップ指標「AI 影響」はこの値です。
仕事が減るリスク(Displacement-Risk)— 仕事そのものが減る・なくなる確率。「AI 到達度」が人間の強みを越えた分を、導入のしやすさと求人の見通しで調整します。
人間の強み M = D3〜D7 の平均
導入のしやすさ P = D8 と D9 の平均(D9 が高い = 広がりやすい)
仕事が減るリスク = E ×(1 − M/10)×(0.6 + 0.4 ×(P + D10)/20) ※ 0〜10 に収める
結果は「2 つの指数 + 10 次元のレーダー」です。経営者は変化は大きいがリスクは低い、データ入力はどちらも高い、訪問介護員はどちらも低いと読めます。
採点のルール
- 目もり:各次元 0.0〜10.0、小数 1 けた。
- 「影響」ではなく性質に点を付ける:名前の付いた性質の強さを点にし、向き(プラス/マイナス)は記号で決める。だれが採点しても同じになるように。
- 現行 AI の実力を基準に:D1・D2 は「今の AI でどこまでできるか」で採点する(必要なら「5 年後」版も)。AI が進歩したら点数だけ付け直し、10 次元の枠組み自体は変えない。
- 自信度:各職業に自信度(0〜1)を付ける。同じ職種でも会社で実態がばらつく場合(例「管理職」)は、点ではなく自信度を下げて表す。
- 採点者と記録:訓練を受けた人、または校正ずみの AI が、指標を手がかりに採点する。使用モデルと日付を毎回記録する。
世界共通 + 国ごと
AIOIS-10 が世界標準になれる理由:D1〜D8 と D10 は世界共通(仕事と AI の性質そのものなので、東京でもベルリンでもサンパウロでも同じ)。D9 だけが国ごとに変わる次元で、各国版は D9(と必要ならリスク式の重み)だけを付け直します。日本の深刻な人手不足は、D9 が低くなる一例です。
採点例(日本版・現行 AI 時点)
本サイトの採点(Opus 4.8、2026-05-30、D9=日本)からの抜粋。T=変化の大きさ、DR=仕事が減るリスク。
| 職業 | D1▲ | D2▲ | D3■ | D4■ | D5■ | D6■ | D7■ | D8▲ | D9◐ | D10▲ | T▲ | DR▲ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| データ入力 | 9.5 | 9.0 | 0.6 | 0.3 | 0.0 | 0.7 | 0.8 | 4.4 | 6.6 | 7.9 | 9.2 | 7.6 |
| 翻訳者 | 9.5 | 4.7 | 0.6 | 4.3 | 2.0 | 4.8 | 2.8 | 7.7 | 7.2 | 5.9 | 7.1 | 4.4 |
| 会社経営者 | 7.0 | 1.7 | 2.4 | 8.4 | 6.4 | 5.0 | 4.8 | 5.5 | 5.0 | 3.2 | 4.4 | 1.5 |
| 外科医 | 4.0 | 4.6 | 6.2 | 9.5 | 8.9 | 5.4 | 9.1 | 3.8 | 5.5 | 2.8 | 4.3 | 0.7 |
| 訪問介護員 | 2.0 | 3.9 | 6.3 | 4.0 | 5.2 | 2.0 | 5.4 | 1.8 | 1.6 | 1.6 | 3.0 | 1.1 |
緑=働く人に有利・影響小、赤=影響大(■ 列は反転、◐ D9 は中立)。
経営者と外科医は頭を使う仕事で大きく変わるが安全(高い D4・D5・D7 が「仕事が減るリスク」を 1 前後に抑える)。介護員は D9(有効求人倍率 ≒ 28 の深刻な人手不足)と D3・D5 が「AI 到達度」を上回り守られています。「AI にできる」が実際に職を奪うのは、人間の強みがうすいデータ入力・翻訳だけです。
もとにした研究と注意点
AIOIS-10 はこれまでの研究を置きかえるのではなく、まとめ直したものです — 定型/非定型業務(Autor–Levy–Murnane 2003)→ D2、3 つの「AI が苦手なこと」(Frey & Osborne 2013)→ D3・D5・D6、機械学習による代替可能性(Brynjolfsson 2018)→ D1、代替の力 vs 創出の力(Acemoglu & Restrepo)→ D8・D10、AI がこなせる業務(Eloundou 2023)→ D1。新しい点は、「AI 到達度」から「働く場の結果」までを、人間の強み・摩擦という段階ではっきり繋ぐ EMFO の流れと、世界共通+国ごとの設計です。
注意:本標準は職業データにもとづく・現行 AI 時点の見立てであり、検証ずみの失職確率ではありません。採点手順・データの整え方は 評価プロセス を参照してください。